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第2話「誕生!ベストトゥエルヴ!!」 

 95年度も終わろうとするころ、ひとつの事件?があった。6年生が三田市のドッジボール大会に参加し、第3位になったことである。6年担任のT先生Y先生が担任している子どもたちを思い出作りのために参加した大会である。地域の野球チームでピッチャーをする子がひとりいたことで3位になれたとT先生らさえ驚くほど、まさか3位になれるとは思っていなかったらしい。しかしこのことが直接ベストトゥエルヴ誕生とは結びつくわけではない。ただ少なくとも朝礼で表彰されている6年生を羨望の眼差しで見る低学年があったには違いない。

 96年、前年度に引き続き5年生の担任となり、その年から始まった三田リレーカーニバルを圧倒的な強さで終えた6月の半ばであったろうか

 「先生!ぼくドッジボールでテレビに出たい!」

 休み時間、教室の机で雑務をする私の所へやってきたのがSくんだった。彼はテレビでドッジボールの全国大会を見て大変感動したらしい。もともとドッジが好きで4年生の時にもそのような思いがあったが実現できず、父親に相談して見たところ全面的にバックアップするが指導はできないので、先生に相談して見ろとのこと。ドッジボールの全国大会などあることも知らなかった私にとって、彼の言葉は大きな魅力となった。なにより子どもたちとそのことでつながることが教師の私にとって最大の喜び・幸せと直感し、後先も考えず答えた。

 「Sくんの気持ちはわかった!やろう、まずはメンバーを集めなくちゃ!」

 喜々としたSくんは早速5年生全クラスに呼びかけ、数週間後Sくんのお父さんから分厚い封書をいただいた。

 「ベストトゥエルヴ?これは?」

 「チーム名。試合は12人でやるから」

 コープカップに出場するために記入されていた選手登録用紙の最初に書かれていたのが「ベストトゥエルヴ」、監督の欄が空欄となっておりそこに私が記入、印を押し・・ベストトゥエルヴ誕生の瞬間である!

 「優勝して全国にいくぞ!」

 「テレビに出てインタビューされるぞ!」

 実力も考えずに夢を大きく語るのはこの頃から・・!?とにかく夢だけはでっかく持った5年生男子16名、訳も分からず監督を引き受けた本当は運動は大の苦手で口先だけの私と、チームのマネジメントを一切引き受けてくださったSさんらとの第1期ベストトゥエルヴは、コープカップ(全日本ドッジボール選手権兵庫県大会)に向けて始動したである。

(続く)

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