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 第4話「かすかな予感」

 実は、ベストトゥエルヴがこれまでに参加した大会、特に初期の各種資料はほとんど現存していない。(まさかこんなことになるとは思わなかったので・・(ToT)すいません・・)したがって、このコーナーは私の記憶をたどるだけの「あいまいな歴史」になっているが、それでも8年前のことがこれだけ詳しくひもとけるのはやはり創世期の思いが深いからであろうか・・・

 コープカップを終え、2学期。怒濤のごとく運動会、自然学校を終えてほっとする間もなく、学校宛てにローカル大会の案内が届いた。CSRドッジボール大会といって、篠山町(当時)で毎年開催される多紀・氷上郡の小学生を中心に募集される「フレンドリー」な大会である。私は、前任校でもこの大会には参加したことがあったので、早速目をつけた。参加チーム数は15チームにも満たない小さな大会ではあるが、とにかくドッジがしたくてしたくて仕方がない子どもたちと四六時中つきあっているわけで、担任としては、ここらで大会のひとつでもないと子どもたちのストレスが爆発、学年崩壊?にもなりかねないと思っていたからである。(学年崩壊は冗談ですよ(^_^;))

 夏の経験を少しは生かした(?)練習を積んで望んだ大会で、ベストトゥエルヴは初の表彰状を頂いた。
 

「準優勝!」

 勝ち続ける子どもたちを見て、私は言いようのない興奮を覚えた。自分自身がこれまで、チームスポーツを経験したことがなく、まず根本的に子どもの頃から「運動嫌い」だった性格からは考えられないことであった。教師として子どもたちと関わりだして8年目、前任校でも子どもたちをつれて大会に参加し、共に勝利を味わい、感動を共にしたことはあった。しかし、常に心のどこかで運動嫌いな私がいた。

 ところが、このドッジボールは私にとって全く未知のスポーツであり、子どもたちも「遊びのドッジボール」から「競技ドッジ」の扉を叩いた所であった。みんな0からのスタート、子どもたちは、何もわかっていない先生、指導もままならない先生でも、話を一生懸命聞いてくれ、信頼してくれる・・。ついてきてくれるではなく、
 「一緒に」歩んできている!

 決勝は、松が丘小学校の6年生。予選では6年生チームを撃破し、決勝に進んできた子どもたちであったが、さすがに今度の相手は分が悪いと最初から感じていた。自分たちより体の大きい子たちから投げ出されるアタックは、5年生の子どもたちにとっては、驚異だった。

 「とにかく、ここまできたんだ、ドッジを楽しもう!」

 内野、外野からの強烈なアタックは、とにかく縦一本だから耐えて、我慢、こちらの得意なサイドへ移動して揺さぶる攻撃をしかけよう、とわかったような作戦を一応指示し、コートへ送り出した・・・

 終了の合図の瞬間、子どもたちは満足感いっぱいの表情だった。

 「たくさんドッジの試合ができてよかった!」

 それだけで子どもたちには十分だった。結果としてついてきた準優勝、子どもたちと私はちょっとした自信をつけ、ますますドッジを好きになっていった。

 そして、3学期。

 クロネコカップという耳慣れない(^^;)大会に出場、T先生、M先生もいない、いよいよ指導者は私一人となったわがベストトゥエルヴは、夏より一歩進んで、決勝リーグ進出を果たす。まだ参加チーム数の少ない頃であったので、2位上がりで、決勝リーグを2回勝てば、ベスト4だったように思う。またまたお気楽な私たちは、決勝リーグに進んだ瞬間「これは忙しくなる、大変だ!」と保護者と話したものだ(笑)

 当然?決勝リーグ1回戦で敗退、しかしそこまで残ったおかげで私たちは、衝撃的なチームの試合を目の当たりにする。「ひょうたんファイターズ」である。

 私は、このクロネコカップでの子どもたちのゲームする姿は、浮かんでこないが、あの川西の体育館の向こう正面のコートで圧倒的な強さを発揮して、優勝していく青の軍団の姿は鮮烈に記憶している。あちこちから聞こえる感嘆の声、まさにスターを見る気分である。そのチームとまさか次の夏の大会で、決勝を争うことを誰が予想したであろうか・・・

 3月に行われた、1996年度三田市ドッジボール大会でも、5年生ながら


 「準優勝!」

(この5年生チームが準優勝の記録は2002年度、現在のベストトゥエルヴの子どもたちが5年生で成し遂げるまで、どこのチームもなし得ていない。9mコート、10人の三田市のドッジでは5年生と6年生との体力差が一層はっきりとするからであろう)

 「大向くんのやってきたことが花開いたなぁ」

 表彰式を見ながら、先輩のN先生が声をかけてくださった。

 「ありがとうございます・・でもまだまだ、これからですよ!」

 5年生だけの子どもたちがここまで・・来年は・・!

 かすかな予感が、確実に私にはあった・・・「いける!」


(続く)

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